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対処すべき課題

当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、高度化、多様化するお客様の検査ニーズにお応えするため、検査技術の革新を進めるとともに、検査対象の拡充による事業の成長継続と、市場の急速な変化にこたえるために製造能力の強化による更なる成長を目的として、以下の課題に取り組んでまいります。

(1)既存事業の拡充

①半導体検査装置機能の高速化及び機能性向上

当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、高度化、多様化するお客様の検査ニーズにお応えするため、検査技術の革新を進めるとともに、検査対象の拡充による事業の成長継続と、市場の急速な変化にこたえるために製造能力の強化による更なる成長を目的として、以下の課題に取り組んでまいります。
当社の主たる事業分野である半導体検査装置事業分野は「日進月歩」ならぬ「秒進分歩」と揶揄される程、機能面での変化が速いことで知られる分野であり、「1秒後には新しい技術が、そして1分後には実用化されている」とのたとえ通りその技術レベルが上がるごとにタイムリーな開発が必須となります。特に当社が「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置はスマートフォンに代表される、進化の早い情報端末に多く使われ、かつ5G通信規格の普及とともにより早い技術革新が当該検査装置にも求められております。
また、LCDドライバIC、そしてCCD、CMOSイメージセンサー分野においては高品位、低コスト、高速化に加え、更にユーザーフレンドリーなユーザーインタ―フェース、プログラミング補助機能強化などをそれぞれ推し進め、同分野において、新たな機能開発に向けた検査ニーズに対応する検査技術や手法の開発を継続するとともに、随時開発体制の見直しと強化を行ってまいります。
当社は引き続き、中国と台湾方面をメインマーケットとし、現地ニーズを把握し当社100%出資の中国湖北省武漢市に設立した製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」の能力を最大限に高め、製造から納品までのタイムラグをなくすことで、現地顧客の信頼、ニーズを先取りした経営を行ってまいります。
当社第29期となります2021年からは、偉恩測試技術(武漢)有限公司に現地での製造に加え、営業を本格的にスタートさせ、当社有力代理店蔚華科技股份有限公司と共同で新規顧客へのアプローチ、既存顧客からのリピート受注の促進を図ってまいります。
また、かねてより開発中であった高速データ転送機能他、新機能の開発が終了し既存のWTS-577に改良を加えたWTS-577SRのリリースを2020年10月に完了し出荷を始めました。次に、現在開発中の次世代検査装置において、できるだけ共通の筐体、ソフトウエアやインターフェースを使えるようにすることで開発資源の共通化を実現し、開発スピードのアップだけでなく、テストハウスでは、検査対象デバイス(IC)が変わっても装置内部に用意する機能部品の一部を変更するだけで、多様な半導体検査に応用可能な装置となり、導入コスト、導入リスクを大きく下げる提案が可能となります。当社は、このような新たな発想による新たな検査ニーズに対応する検査技術や手法の開発を新体制の下、進めてまいります。

②営業力強化・顧客サポートの充実

当社は、中国・台湾のマーケットに参入するため、当社の有力台湾販売店(蔚華科技股份有限公司)の協力の下、当社の100%製造子会社である偉恩測試技術(武漢)有限公司の営業部と当社の開発部が三位一体になったベンチマークや販売戦略プロジェクトを推進し、なお一層販売体制を強化し、拡大が続く中国マーケットに深耕してまいります。加えて、製造工場としてのエンジニアや管理組織の人員の雇用を促進し量産に向けた製造体制の強化を推し進めつつあり、中国国内の顧客から、大きな注目と期待を寄せて頂いております。また、蘇州に蔚華科技股份有限公司と共同でサポートやデモ、ベンチマークを行える拠点を整備、顧客向けベンチマークやリレーションの構築、受注体制の拡充とスピードアップを図り、拠点からの直接サポート、納入ができる体制を整備しております。今後、拠点数を更に増やし、お客様に近い存在をアピールすることが、今後の中国マーケット攻略の要となると考えております。
また、武漢精測電子集団(グループ)の兄弟会社の技術や販売網を利用した取り扱い製品の拡充、拠点の整備、営業・サポートのローカライズ等を推し進め、中国、台湾マーケットからの大量受注、受注に見合った量産体制の確立を進めるとともに、当社グループの体制構築に努めてまいります。

③大阪事業所の拡充・整備

当社、大阪事業所では、今後新製品、次世代検査装置の開発と試作製造を主体とした技術工場的な役割を担う戦略を取ってまいります。同事業部門は、検査装置事業における開発・設計・製造工程において次世代検査装置に不可欠な設計力の増強を行い、組立て製造能力を備えた機動的な工場としてまいります。そのため、まだ負荷の大きい既存装置のサポートを中期的に順次当社中国の子会社に移転し、一部既存装置の製造能力はリスクヘッジとして残すものの、新型次世代装置の開発設計と製造に注力してまいります。
さらに、大阪事業所の役割としてスピーディーで顧客満足度の高い組織的サービスの提供を模索し、加えて「工場モデル」の開発を通しコスト削減、品質管理及び大量受注の際の迅速な対応並びに納期の短縮と品質のアップと維持など、装置開発に留まらない多肢にわたる「開発」を行ってまいります。

④ウインテストグループとして

今後もウインテストグループとして、横浜本社、大阪事業所における開発環境整備、人材育成及び増員に努め、組織の強化を行い、総務経理部を含む各部署における業務推進体制を革新するため、ERPやITを駆使した一括管理サーバーを導入する等、より機動的かつ最新の環境で、設計、開発及び経営能力を強化するとともに、トータルコストの削減、納期の短縮と品質の向上を目指し、顧客満足度を上げることで受注増、業績の向上、会社価値の増大を図り、株主様の利益につなげてまいります。

(2)産学連携等による新技術への取り組み

当社は、未来技術の獲得を目的に、産学連携を進め、新技術の獲得によって主事業の拡充に取り組んでおります。2020年1月に顕在化した新型コロナウイルス感染症拡大の影響は未だに色濃く残ってはおりますが、日本を含めた世界はウイズコロナへと舵を切り、各大学機関も一部を残し平常を取り戻しております。暫く中断していた研究室の活動も再開され、当社の取り組むいくつかの分野では製品化が見え始めたものもあり、2022年度第30期研究予算に組入れて、プロジェクトを継続してまいります。

①検査装置向け工場FA化機器技術「自重補償機構技術」(注)

当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、2019年8月からの研究成果について、大学並びに研究室の再開を待って、継続の方向です。しかし2019年6月の段階で、重量キャンセル型アームの基本試作3号機まで完成しており、当期は、ずれ込んでおりました特許等の申請についても手続きは終了しております。また今後の進め方に付き大学側と調整中です。当該技術は当社の検査装置をウエーハ搬送装置とのドッキングに使用する「マニピュレータ」で製品化を目指しますが、当面の目標として、検査装置のポゴタワーと呼ばれる約25kgの着脱補助装置としてその搬送可能重量を50kg前後で開始します。

②半導体IoTセンサー

半導体IoTセンサー分野において、奈良県立大学と進めております脈波を利用したヘルスケア管理システムは、株式会社TAOS研究所と新たなアライアンスを組むことで、製品化の段階へと進むこととなりました。当期予算に継続的に組み込み、最終製品化に向けて共同開発を進め製品化を目指します。尚、販売に関しましてはTAOS研究所に一任する方向です。

    
    

(注)検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは
一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。