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対処すべき課題

(1)主たる既存事業への取り組み

ア.検査装置機能の高速化及び機能性向上

当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、高度化・多様化するお客様の検査ニーズにお応えするため、既存検査技術の革新を進め、お客様における設備投資機運が低迷するなか次世代半導体向け高機能検査装置(WTS-9000、WTS-577SX)の開発を完了させることができ、2024年12月開催のセミコン2024で販売開始のご案内をさせて頂きました。また開発段階で販売を加速させるため、WTS-9000を大幅に小型化し、お客様の半導体開発部門向けに小型化しデスク下に置けるWTS-588Dを同時にリリースし、2025年のマーケットに打って出る準備を整えました。
さらに足元の計画として、製造能力の強化、品質管理体制の整備推進を実施し、また、お客様にとってより信頼される企業として成長するために、以下の取り組みを進めております。
当社の主たる事業分野である半導体検査装置事業分野、特にディスプレイ・ドライバICは、スマートフォンに代表されるように新製品サイクルが非常に早く、おおよそ、6か月を目途として新製品がリリースされ、その技術レベルや機能のレベルが上がるごとに新機能を実現するための「新開発半導体チップ」が要求され開発されています。そのため、当社グループとして、量産向けだけではなく、上述のようにWTS-588D開発部門向け検査装置をリリースし、WTS-9000と操作環境、プログラム環境を同一とし、開発からデバイスチップの量産までをシームレスに繋げられるようにお客様に提案できることといたしました。加えて応用技術部門では、市場要求(新開発半導体チップ)に合わせた新機能を検査する手法の開発と多角的な検査のアプローチ方法を提案、ベンチマークを行い、より検査の幅を厚くする取り組みを続けてまいります。

イ.営業力強化・顧客サポートの充実

半導体検査装置においては高精度、低コスト、高速化に加え信頼性の向上が求められるだけでなく、更に使いやすいユーザーインタ―フェースと、検査用プログラミング補助機能の強化などを実現する必要があります。それぞれをこれまでにないスピードで推し進めることが、同分野において求められることから、組織と業務運営体制の整備を進め、よりスピーディーな開発判断ができるように組織改革、横浜、大阪における事業所再編を行ってまいります。
また子会社である、ウインテスト武漢においては、次世代型検査装置の製造を早期に移管、製造規模の拡大を計画します。また、開発能力を生かし、従来機を中心に新機能や高速化を目的とした開発や改良を行い、製造品質の強化に努め、販売においては蘇州にサポートと販売拠点を設けておりサポート、営業の強化を進めてまいります。

(2)新規事業による事業の多角化への取り組み

当社は、業務範囲の拡充を目的に、産学連携を行っております。以下に産学連携の進捗につきご説明申し上げます。
検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)、当該技術については、慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については、積極的に特許申請を進めており、今までに取得した特許に加え新規の特許申請手続きに入っています。現在、同技術を民生「物流搬送市場」におけるトラック向け昇降補助装置(テールゲートリフター)として製品化を進めており、製品化に向け設計専門会社へ委託、製造会社とも協議を進め2025年中には小型トラック、ワンボックスバン、軽貨物向け製品を販売する計画です。販売に当たっては、物流関連の協会などを通し、大手物流企業と連携し拡販を図ってまいります。物流市場は、サーチラボ社によると、物流業界に激震が走った2024年問題を皮切りに、人手不足・荷役作業による怪我を防止する意味でも安価なテールゲートリフターが求められているとのことです。
奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、現在特定のお客様への試験販売を行っておりましたが、基礎データの収集も一段落したことから、共同事業提携先となる株式会社TAOS研究所を中心に奈良県立大学とアライアンスを継続、この度、製造における技術課題に目処も立ったことから製品化を行い、2025年早期に一般への販売を計画いたします。なお、販売にあたっては大手介護事業者並びに大手衛生機器関連会社等と連携し、進めて行く計画です。
水素ナノバブルイオン洗浄水に関しましては、今後内製化を行い洗浄用途だけでなく環境改善など幅広い用途に使えることが判明いたしました。小規模BtoB又はBtoC向けとしては、装置単体の販売を計画し、また大規模顧客向けには、装置のレンタルを含め提供してまいります。
そのほかでは、当社のCMOSイメージセンサー検査装置技術を生かし、業界一の低価格で提供できるX線による3D断層画像診断装置WTS-CT130を大学等の研究機関等を中心として販売してまいります。

    
    

(注)インダストリー4.0 検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは
一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。